新たなデータを収集することで
生み出すのではなく、
今あるデータを掛け合わせることで
有益なデータを生み出す

―収集されるデータについて高次化という点はどう取り組まれていますか。

中田

中田

家電から収集されるデータはセンサーで検知、測定しているものと時間情報など比較的シンプルなものです。例えば、人感センサーは人がいるいないを検知し、明るさを感知するセンサーは部屋の照明が点いたかどうかだけを検出しますが、日光が部屋に入っているかどうかも検知します。どのくらい室内に日光が入っているかというデータは、空気清浄機などに必要なセンサーを利用する本来の目的とは異なりますが、日の入りや周辺地域の日照量をデータ化することで新たなサービスへ流用できる可能性が出てきます。
ある家庭の様々な家電、空気清浄機や冷蔵庫、洗濯機などのデータを組合せることで、その家庭ではこの時間に活発に活動している、人が動き始める時間や行動が見えてきます。収集データをどういう目的で収集するのか、今、まさにお客様が何かをしようと思っていたタイミングで最適な情報を提供する。例えば、そろそろ買い物に出る時間ではという行動を推測して、スーパーの特売情報を通知することができれば、それは一般的な広告ではなくお客様にとって「有益な情報」になります。普段の生活を送るだけで、有益な情報が得られるお客様も、お客様に来店いただいたお店も、情報を収集しお店に情報を提供する機器メーカーも皆がWIN-WINになります。
お客様のデータを1mmも逃さず収集するようなことは必要ではなく、今、すでにあるデータをフルに活用し組合せ、AIを活用し地域状況や気象情報、お客様の行動解析を掛け合わせて有益なデータを作っていくことが、我々が行うデータの高次化と考えています。

―収集されたデータを掛け合わせることで新たな使い方や新たなサービス提案の可能性を今後増やしていくためにも、ネット接続率を上げていくことは重要ですね。

栗本

栗本

今、実際に都道府県全ての地域で利用されているエアコンの情報をリアルタイムで収集しています。地域情報と紐づけられた洗濯機の運転状況からの統計データと、天気情報と掛け合わせることで、例えば雨が降っている西日本では乾燥機能を利用している割合が多いというように、日本全国の動きが確認できるようになっています。リアルなデータと定点観測したデータによる変化や統計データを掛け合わせたデータを当社としてだけでなく他社でも活用していただけるように整備しているところです。特定の地域での変化を測るための効果測定として使えると思っていて、当社としても取り組みに力を入れようとしています。

栗本
中田

中田

個人情報だけではなく、統計データとして扱うことでもっと大きなサービスに利用できる可能性があります。ただし、あくまでデータはお客様のものなので、利用許諾を承認いただいたうえで運用させていただくことが大前提です。メーカーが収集させていただくデータはお客様からの預かりものですので、利用許諾を取った範囲の中で、それを応用させていただく。セキュリティ認証資格であるISO27001とJISQ15001を取得して、しっかりとセキュリティを保ったうえでお客様からお預かりした情報を管理して運用していかなければなりません。
家電は1年2年使用して終わりではなく、5年10年と長期に渡って使っていただくもの。買っていただければOKではなく、家電を買っていただいた時からがお客様とのおつきあいの始まりで、それからお客様にそれぞれに対してどういうサービスを提供していけるのかを考えるのがメーカーとしての我々の責務と考えています。

ヒト・モノ・すべてがつながり、
サービスtoサービスを実現するために、
プラットフォームは「オープン」
であることが重要

―現在、注力されていることがあれば教えてください。

栗本

栗本

当社のサービスのインターフェースはCOCORO KITCHENやCOCORO AIRなど機器ごとに接続していただいてCOCORO+サービスを利用いただいていますが、そのサービスを連携して様々な家電利用に際してハブとなるCOCORO HOMEの提供を5月から開始、力を入れて取り組んでいます。個別機器に特化した操作は各アプリに遷移させてご利用いただけますが、COCORO HOMEを使うことで機器への接続や簡単なオンオフの制御などが可能になりますので、個々のアプリを見ることなく、COCORO HOMEを見れば全ての利用機器・提供サービスの情報が確認できます。

藤井

藤井

機器間の連携だけでなく、機器とサービスの連携も可能になるので、例えば洗濯が終わりましたという通知の後に、今回の洗濯は何点でした、汚れが多かったので汚れに強い洗剤を使ってはどうですかというレコメンドをするなど、機器の利用プラスアルファの色々な連携可能性があります。

栗本

栗本

COCORO KITCHENは利用者全員に対して旬のものやお勧めのレシピが配信されますが、COCORO HOMEでは調理履歴やメニュー検索履歴に基づいた、お客様ごとに異なるレシピが配信されます。
機器とサービスがつながることで、家の中の生活がどんどん見える化されて、エアコンを使いました、洗濯終わりましただけでなく、そこからお客様に対して適切なサービスの提供が可能になります。COCORO HOMEをPFとして対象機器やサービスのリストには当社だけでなく、他社も入ってくるイメージです。
今回、コンソーシアムには入っていない他社ともすでにデータ連携が可能になっており、連携可能になった機器データは他社のサービスでも扱えるように、PF事業としても推進していきたいと考えています。

栗本
藤井

藤井

PF事業において目指すべきは「オープン」であるというところです。現在の巨大ITを中心とした場合は1つのPFに全ての情報がつながっています。1つに集約されることで仕様が統一されるメリットはありますが、そのデータを皆が活用できていないというデメリットもある。我々はオープンにすることで誰でもPFのデータを活用できることを目指しています。1社で宅内の家電を全てカバーしているわけではありませんので、そこを補い合えるのがメリットではないかと考えています。

中田

中田

我々が考えるPFはあくまで様々なものをつなぐ1つの手段に過ぎず、またオープンであることが最優先という考えに基づいています。家の中をつないでいくためには、我々のようなメーカー1社でできることは限界がありますので、皆さんで手をつないで、PFをつなげていきましょう、というお話を各社様にさせていただいています。そうすれば、各社が提供する家電や機器に囲まれているお客様の生活そのものがより早期にスマートライフ化を実現することにつながります。PF to PFという考えからサービスtoサービスへ早く広げていくこと、それが我々の目指すところだと考えています。