家の中の家電をつなぐこと、クラウドにつなぐことで人に寄り添う優しい存在であることを目指して

―御社のコンソーシアム体制について教えてください。

藤井

藤井

我々のコンソーシアムでは、シャープを幹事会社として我々とKDDIがそれぞれプラットフォーム(以下、PF)事業者・機器メーカー・サービス事業者の役割を担っています。サービス事業者としては他にもセコム、セコムトラストシステムズ、静岡ガス、中部テレコミュニケーション、tsumugというパートナー企業に参画いただき、PFを介してシャープとKDDIの家電および機器データをサービス事業者に使っていただくコンソーシアム体制を構築しています。
我々は機器メーカーですが、つながるプラットフォーマーでもあります。パートナー企業の方にもご利用いただけるようにAPI仕様書を用意しておりますが、様々なサービス事業者が使いやすいものとなっているか、その点は強く意識しています。

藤井

―今回のコンソーシアムには昨年度のNEDO事業からの継続メンバーも含まれていますが、昨年度事業を踏まえて今年度に目指すべきところを教えてください。

藤井

藤井

昨年度事業では、ライフデータの利活用実証を行なえたことがまず一つ目の大きな成果です。継続してKDDI、セコムとコンソーシアムを形成できていることで、PFの機能やセキュリティ要件など昨年度の検討内容をそのまま今年度も継続できていることは、今後のライフデータの利活用という面にも生かしていけると考えています。
また、これは直接的には関係ないかもしれませんが、ライフデータを活用した高齢者の健康増進や介護負担軽減についての実証ができたというところが二つ目の大きな成果です。
課題という点では、昨年度事業では高齢者にスマホを使っていただいたことでUIの課題が散見されました。そこで10月1日のサービスインに向けてCOCORO HOMEのアプリは高齢者にも使いやすく、また見守る子供世代も使いやすいように改善を行なっています。

―御社が推進されている「AIoT」について教えてください。

藤井

藤井

シャープでは、「8K+5GとAIoTで世界を変える」というビジョンを掲げています。「AIoT」はAIとIoTを組み合わせて当社が作った造語になりますが、我々の部門では、その「AIoT」を担当しています。
具体的には、クラウドにつながることでお客様の行動や好みを学習し、それぞれのお客様に適したサービスや使い方を提案するなど、家電をネットワークにつなげることで、さらにお客様に寄り添ったサービスを展開していくことを、目指して事業を推進しています。例えばエアコンであればご家庭に合わせて室温を最適化したり、ヘルシオなら調理履歴に基づいたメニュー提案をするなど、お客様それぞれに合わせたサービスをご提供しています。

「サイバー」という仕組みを通じて、
家電を一つ上の存在に、
利用する人の生活も一つ上のステージへ

―“シャープ”の考えるサイバー/フィジカルやスマートライフの世界とはどのようなものですか。

中田

中田

普通、家電がクラウドにつながることでできることといえば、外出先からのリモート・遠隔操作や、自動操作が一般的です。しかし、それでは本当にお客様に寄り添っているものとはいえないと思っています。
お客様は家電が欲しいから家電を買うのではなく、料理や室温制御など、何かをするという行為、我々はそれを「サービス」として捉えていますが、その目的のために購入されます。
例えばヘルシオを買う人は、ヘルシオをキッチンに置くために買うのではなく、美味しい料理を簡単に楽しみたい、健康なメニューを家族で楽しみたいという目的があるからです。ただ、ヘルシオでダイエットを目的としたいという人、とにかく時間をかけてでもヘルシーなメニューを、という人もいれば、忙しくて時間はないが早く、でも体にいい食事を作りたいというお客様もおられます。
それぞれ異なる状況の中で、その目的をスマートフォンなどに手入力で登録するのではなく、その家電を普段の生活の中で利用されているお客様のそれぞれの状況をAIが自動的に学習し考えて、家電から提案していけるようになる、というところが我々の目指すAIoTを使ったスマートライフ家電です。

中田

「サイバー」と言葉を聞くと、情報であったりクラウドであったり、目で見てパッと分かるものではないイメージですよね。でも家電は目の前にあり手に触れ使うものであり、その家電がサイバーにつながることで、普段の生活で体感できるものになります。調理家電は温めるため、冷蔵庫は冷やすためだけのものから、一つ上のレイヤーの「生活の質を変えていく存在」に変わっていくのです。日常の生活がより一つ上のステージにあがっていくための仕組みが「サイバー/フィジカル」であり、家電に限らず、家の中にある機器や、それを利用する人の生活そのものを変えるものではないでしょうか。

藤井

藤井

当社だけではなく、他社も含めて連携していくことも重要と考えています。特に「サイバー」の部分はまだまだ当社のサービスは少ないので、今回のコンソーシアムにおいても、当社の機器データを他のサービス事業者に使っていただくことがスマートライフ社会を加速させることにつながると考えています。

ネットワークにつながる価値を
感じていただくために取り組む、
誰もが使いやすく
簡単に操作できるUIへの改善

―日本ではようやくIoT機器が社会実装されつつあると考えていますが、今後の成長はどのように考えていますか。

藤井

藤井

当社の2018年度の白物家電におけるIoT製品の販売比率は約30%、2020年度中には約50%にまで伸ばしていきたいと考えています。一方で、ネットワーク接続率については課題を感じています。いくら販売してもネットワークに接続していただかないと機能は十分に使っていただけない。当社のネットワーク接続率は現状で約40%、2020年度中には約70%まで伸ばしていきたいと考えていますので、2020年度目標を見据えて、今回の取組を2019年度下期のプロモーションとして活用していきたいと考えています。

―接続率を伸ばすための施策はどのように考えていますか。

藤井

藤井

1つはユーザーインターフェース(以下、UI)の使いやすさと、家電をネットワークに接続するためにアプリとペアリングするところ、この2点のハードルが高く課題となっています。まずはアプリをダウンロードしていただいて、取扱説明書の通りに操作をしていただくだけで迷いなくネットワークにつながるようにすることを目指しています。

中田

中田

そもそも今販売中のAIoT家電がネットワークに接続できるということを、まだお客様に十分に周知できていない面もあります。特にエアコンなどがそうなのですが、逆にホットクックは特にテレビCMをしているわけでもありませんが、約60%以上のお客様がご自分でクラウドにつないでアプリとのペアリングなどを行い、メニューダウンロードなどのサービスを利用されています。
ネットワーク接続率が高い理由は、やはり接続することで便利になる、使いやすくなることをお客様が理解しているからだと感じています。まずはお客様にネットワークに接続することの価値を周知すること、そして、UIの面でもボタンを押すだけで説明通りに操作すれば完了できるようにしています。ただ、これだけではまだ施策としては不十分だと思っていますので、さらに価値を高める、そして今のUIをもう少し簡単にしていく取り組みを今年度以降も継続していきたいと考えています。

―御社では様々な家電を扱われていて、購入される年齢層は幅広いと思いますが、その点で意識されていることを教えてください。

中田

中田

誰もが分かる普段の生活価値の向上と合わせて、設定を分かりやすくしていくことも重要です。例えばエアコンは本体を高い位置に設置するので本体に触れられないため、設定などはリモコンを使用します。ただ今のリモコンはたくさんの機能を操作するボタンがついていることで分かりづらいという声もありますので、当社ではなるべくシンプルに、通常必要なボタンがどれかを分かりやすくするようにしています。
現状、無線LAN接続のための操作ステップは、まずリモコンの蓋をあけて接続のためのボタンを押す必要があります。その際、室温が外部の第三者から自由に操作できてしまうと安全性の面での問題となるため、それを防ぐためにこれは必要な操作であると考えています。このボタン自体は目立つように色を変えていますが、蓋を開けてボタンを押すというステップが分かりづらいという声もありますので、今後の更なる改善を検討しています。

―ネットワークにつながる家電製品を扱う事業者として、セキュリティ面はどのように考えていますか。

中田

中田

当社ではCOCORO+に関連する家電を販売開始した2016年から、セキュリティは重要な問題として取り組んでいます。セキュリティ担保の面から外部からのネットワーク侵入を防ぐ必要があります。そこでお客様の個人情報を守るために様々な課題をクリアできるモジュールを自社開発しました。セキュリティに関する問題が報告されればすぐにファームウェアアップデートを行い、また機能拡張など開発を継続対応することで、お客様の信頼性を確保できるようにしています。