決定権は利用者に〜自分のデータの
使い方、使われ方は自分で決定する〜

―御社が提供されるサービスについて教えてください。

畠山

畠山

機器で計測した体重・血圧・体温などのバイタルデータを記録したり、身の回りのことをテキストで記録することで、自身の日々の生活の振り返りに活用する健康管理サポートサービス「LifeRoute」を提供しています。同様の健康管理アプリやサービスとの大きな違いは、通常はサービス提供企業側が収集したデータの使い方を決めて利用者を集めますが、LifeRouteではその使われ方の選択権限を利用者が持っています。
今回、配食サービスの提供で提携するグローバルキッチン社に限らず、LifeRouteはサービスを提供しようとする企業が自由に利用者のデータを閲覧できる仕組みではなく、利用者が受けたいサービスかどうか、自分のデータを閲覧させてもいい企業かどうかを判断して閲覧権限を付与する仕組みになっているのが特徴といえると思います。

―具体的にどういった機器からデータが収集されるようになっていますか。

NFCの一つ、おサイフケータイで使われているFeliCaインターフェースを搭載した歩数計や血圧計、体組成計、体温計、基礎体温計、血糖計、血中酸素濃度を測る健康機器などで、現在は8社の健康機器が対応しています。ただ、FeliCa搭載機であれば全てデータ収集が可能なわけではなく、インターフェースを開示している機器が対象です。
機器からのデータ以外では、日々の食事をスマホのカメラで撮影してLifeRouteアプリから送信すると、WEB上のLifeRouteに時系列で表示されるようになっています。食事の画像は、例えば食事アドバイスが必要な利用者が登録すると、利用者から閲覧を許可された病院などの団体、当社ではサポーターと呼んでいますが、サポーターがLifeRouteのサポーター機能を使って食事履歴が確認できるので、利用者は自身の食事内容をより簡単にわかりやすく病院などのサポーターに伝えることができます。
グローバルキッチン社のような配食サービス提供企業は、利用者に提供した食事以外の日々の食事履歴を閲覧することで、一人ひとりの食の嗜好を把握したり、血圧などのバイタルデータも併せて確認することで、献立提案に活かしたり、より利用者の状況を把握したレコメンドが可能になります。

―個々の機器から収集したデータ組合せで統合し、用途別にデータを提供するなどは行っていますか。

当社でデータの組合せは行っておらず、登録されたデータをそのまま閲覧頂いています。
体重、血圧、体温、歩数の標準的な項目に、追加した血糖値情報を活用して糖尿病患者に対して生活習慣の改善につながるソリューションとして使って頂いたり、追加した基礎体温情報を踏まえて、女性が妊娠時に発症することがある妊娠高血糖や高血圧対策につながるソリューションとしてご検討頂いたり、我々が当初想定しなかった組合せで引き合いを頂くケースがあります。
他社では用途に応じてソリューションを作られているケースが多いですが、当社は活用の目的に応じて参照項目を組合せて頂くことで専用のソリューションがないニッチな症状や用途にも適用しやすい、自由な使われ方ができると考えています。
LifeRouteでは一つ一つ項目を増やしていくだけ、好きに必要な情報を使って頂くことをベースに設計しています。

―多種多様な機器をつなぐ場合、各社それぞれが持つ定義や形式、単位などを考慮する必要があると思いますが。

インターフェースは個々で異なっても、LifeRoute内での仕組みを統一する、当社では取得データの最大公約数的に選択するという考え方を原則にしています。特定の機器でのみ実装している項目は採用せず、各メーカーが共通的に扱っている項目を採用しています。
単位についてはあまり問題にしていませんが、最近ニーズが高い睡眠情報については、時間を測るのか、深い睡眠の回数を測るのか、まだ睡眠の標準的な判断がついていないため、どういう取り入れ方をするかは検討が必要です。ウォーキングでも単純な歩数だけでなく、強く歩いたかどうか、中程度の運動強度歩数というのも重要な指標とされていますが、その値を強く歩いた歩数とするのか、強く歩いた時間とするのかは各社それぞれという状態です。
今後の方向性と利用者の利便性を考えて、多く使われているものかどうかが導入する判断基準になります。

メーカーではなく、技術会社の発想から
「繋がるヘルスケア」という考え方

―現在に至るまでの事業の変遷について教えてください。

8年前、ガラケーからスマートフォンに移り変わる頃ですが、当社は技術会社でもあるので、若手社員の中から、スマホで何か作れないか、手入力で記録をしなくて済むように機器をつないで自動入力する仕組みはできないかという意見がでていました。
そんな時にコンティニュア・ヘルス・アライアンス(※)という個人のコネクテッドヘルスの向上を目的に、パーソナルヘルスデータの統一規格ガイドラインを策定している国際団体とつながることができ、それをベースに体重計と血圧計をつなげる仕組みの開発を手始めとして、メーカーに拘らない様々な機器をつなぐ「繋がるヘルスケア」としてLifeRouteが誕生しました。

コンティニュア・ヘルス・アライアンス (コンティニュア) は、様々な健康・医療システムやサービスをシームレスに扱えることを目標として、より質の高い 「予防的な健康管理」 と 「慢性疾患の管理」、そして 「高齢者の自立支援」 の実現を目指し、健康機器や医療機器のデジタル化促進と通信規格の統一を目標とする団体。現在、世界中で240社以上が参画。

畠山

当初はBtoC向けの提供としてサービスを開始しましたが、多くの機器メーカーが自社の健康機器販売のためにICTサービスを無料提供する中で、当社は有料販売であったこと、また、BtoC向けの市場では大手と比べて当然ネームバリューでは勝てないことから販売は厳しい状態でした。
そんな中、健康機器連携機能の追加を計画されていた介護ソフトメーカーが当社を知り、ソリューションを気に入って標準搭載して頂いたこと、またビジネスになるまでに時間は掛かりましたが、健康経営施策に積極的に取り組まれている株式会社フジクラさんが、将来性やオープン志向にいち早く目をとめて、当社と契約、今でも使って頂いていることがビジネスの大きな潮目となり、PHRデータの連携を踏まえた自治体や医療機関の要望に沿うかたちでBtoB向けビジネスが主体になり、今に至っています。